あおぞら教室の廊下にも冬が…

よく晴れた日の3時過ぎ

廊下からこんなやりとりが聞こえてきました

「これは何?」

「うちにあるよ」

「あっ、うちにあるの」

「赤い実…」

「さくらんぼみたい…」

(たぶん、壁にあった名前のカードを読んで)

「南天っていうんだね。」

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(そして、たぶん、下に目を移し)

「マリーゴールドかな? (校長先生より)」

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「これ読める?」

「何?」

「こうちょうせんせいって読むんだよ。」

「こうしょうせんせい?」

「こうちょうせんせい」

「こうしょうせんせい」

「こうちょうせんせい」 (がんばれ!)

「こうちょうせんせい」 (やった 言えた!)

「校長先生がマリーゴールドかなって書いたんだね。」

「ぼくも書くよ。『ぼくもだよ』」

 

穏やかな午後のいつもの風景…教室の中で感じました

顕微鏡で調べたい!

理科で勉強をしたプランクトンに興味をもったKさん(小学校5年生)。

通級にきたら絶対言うんだ!と心に決めて、入室するなりT(通級担当)に向かって、

K「顕微鏡でプランクトンをみたい。」

T「え? どういうこと?」

K「理科の授業でプランクトンをみたのですけど、もっと知りたいと思って・・。」

これがきっかけで、Kさんは、小学校で勉強し興味をもったことを積極的に話すようになりました。

事を始めるには準備が大事。

Kさんは、顕微鏡を借りるために聾学校の理科教員に交渉をしなければなりません。そのために、なぜ顕微鏡が必要なのか、なにを知りたいのか、なぜそう思ったのか、なにを準備したいのか、整理をする必要があります。

その際、自分の考えを整理し、必要な器具の名称を復習し、調べたいプランクトン名を決めるために、やりとりを通じて考えをまとめていきました。

そして、一人で交渉し、理科教員の了解を取り付けました。

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翌週の通級では、用意してもらった聾学校内のため池の水でプレパラートを作り、顕微鏡の対物レンズをぎりぎりまで近づけ、反射鏡を調節し、低倍率から見ていきました。Kさんは上手に操作をしていきました。ときどき、スライドガラスを割りそうになりながら・・

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K「あ、 みえた!」

同じ倍率でも大きさが違うということは・・・どっちが大きいのかなどとやりとりをして観たサンプル同士を比較したり、既習の知識と照らし合わせたりしながら考えを整理しました。そしてスケッチをして、結果をまとめていきました。

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児の興味を基本にしながら、自分がつぶやいた言葉が大切にされる過程をその子自身が感じ取れるように設定するのが私たち教員の役割です。事前・事中・事後のやりとりを通じてKさんの気持ちに観察の視点を加え学習へと結びつけていくのです。

そして、Kさんが自分の言葉で整理をして結果を記録していきました。

 

顕微鏡への興味は尽きず、この後、Kさんは「花粉」が興味の対象となっています。

これからに、乞うご期待。

自分だけの空間「秘密基地づくり」~希望したことを形に・・・

コロナ禍の中

学校に登校できない日が続いた9月が終わり

あおぞら教室に通級生の元気な声が戻ってきたある日

 

「秘密基地を作りたいんだよな」とつぶやいたAさん

ほっとできる場所

自分だけの空間

ちょっぴり秘密もあったらいいな…

 

そんな気持ちの表れだったのかもしれません

 

「じゃあ つくろうよ」

と誘うと

「どこに」

「どうやって」

「本当に作れるの」

といつもは冷静なAさんが飛びついた瞬間です

 

次の通級の時間

何も約束しなかったのに

Aさんは材料を準備して元気に教室にやってきました

そして作業開始

はじめはガムテープを切る手もぎこちなかったAさんですが

出来上がるころには

自由自在にガムテープを操っていました

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そして完成

感想発表では

「かんぺきです」

と満面の笑みで話していました

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紙コップ倒し

通級生(小1・小2)のミニゲーム会です。

紙コップ倒しゲームをやりたいという小1男児Aさん。

「さあ、やろう! でも、どんなゲームにしたいの」

と先生が尋ねると

「あれ、係はどうする?」

「Bさん(小2女児)も誘おうよ。」

「順番はどうする」

「司会は?」

次から次に気付きます。でも一人で決めていこうと

するAさん。

 

そしてAさんは気持ちを落ち着かせて、先生と話し

合います。先生を注視しながら・・・。

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いよいよBさんを誘いゲームを開始。

相手に確認をすること(ルールの理解)

相手を思いやって応援すること(コミュニケーション)

勝っても負けても泣きっこなし(自己コントロール)

結果計算(学習したことの活用)

わいわいと楽しく遊びながら学んでいます。