理科で勉強をしたプランクトンに興味をもったKさん(小学校5年生)。
通級にきたら絶対言うんだ!と心に決めて、入室するなりT(通級担当)に向かって、
K「顕微鏡でプランクトンをみたい。」
T「え? どういうこと?」
K「理科の授業でプランクトンをみたのですけど、もっと知りたいと思って・・。」
これがきっかけで、Kさんは、小学校で勉強し興味をもったことを積極的に話すようになりました。
事を始めるには準備が大事。
Kさんは、顕微鏡を借りるために聾学校の理科教員に交渉をしなければなりません。そのために、なぜ顕微鏡が必要なのか、なにを知りたいのか、なぜそう思ったのか、なにを準備したいのか、整理をする必要があります。
その際、自分の考えを整理し、必要な器具の名称を復習し、調べたいプランクトン名を決めるために、やりとりを通じて考えをまとめていきました。
そして、一人で交渉し、理科教員の了解を取り付けました。
翌週の通級では、用意してもらった聾学校内のため池の水でプレパラートを作り、顕微鏡の対物レンズをぎりぎりまで近づけ、反射鏡を調節し、低倍率から見ていきました。Kさんは上手に操作をしていきました。ときどき、スライドガラスを割りそうになりながら・・
K「あ、 みえた!」
同じ倍率でも大きさが違うということは・・・どっちが大きいのかなどとやりとりをして観たサンプル同士を比較したり、既習の知識と照らし合わせたりしながら考えを整理しました。そしてスケッチをして、結果をまとめていきました。
児の興味を基本にしながら、自分がつぶやいた言葉が大切にされる過程をその子自身が感じ取れるように設定するのが私たち教員の役割です。事前・事中・事後のやりとりを通じてKさんの気持ちに観察の視点を加え学習へと結びつけていくのです。
そして、Kさんが自分の言葉で整理をして結果を記録していきました。
顕微鏡への興味は尽きず、この後、Kさんは「花粉」が興味の対象となっています。
これからに、乞うご期待。